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小林健治「 ことばの品格 」 第1回 このことば、どんな意味?
一般向け
全対象
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【このことば、どんな意味?】
「バリアフリー」
近ごろよく聞く「バリアフリー」。
「バリア」は「障壁」。だから「バリアフリーは障害者も利用できる環境」のことだろうか? そうではない。「障害」による日常生活・社会生活上の困難さを生じさせているのは社会環境の側にあるという視点から、「バリア」とは「社会の側が作った障壁」だ。
たとえば、車椅子での移動が困難な駅の階段、段差のある歩道、エレベーターや多機能トイレのない施設。視覚障害者が安全に移動できない駅のホーム、点字による入学試験制度がないなど。つまり、障害のない人すなわち健常者にあわせて作られた社会環境や制度こそが「バリア」。このバリアをなくすことが「バリアフリー」すなわち「合理的配慮」のこと。
すべての人にやさしい社会をめざし、ことばにおいても自覚的に言い換えることで、社会のあり方を変えていくことができる。つぎをより適切なことばに換えるとすれば、あなたはどれを選ぶだろうか?